念珠の良し悪しここで知ろう
修理の現場からいつもながら感じること

始めにこの写真を見ていただこうと思います。

この写真は、左が修理の時にお客様が持ってこられた廃棄する玉。右は交換用の玉.。
真横から見ると・・・
穴繰り部分は・・・
違いがわかりますか?そうこれは水晶ですからごまかせないのですね。
ちょっと手抜きをした玉はごまかしようがないのです。

回答 : 玉の胴に空けている通し穴。左は白くにごって見えますか?

これは通し穴を磨いた形跡のない玉だったのです。
また穴を空けたところの角部分を滑らかに削っていないのです。どちらも糸切れの原因になります。
 

一時のブレスブームも一段落ついて巷(ちまた)には、流行に乗らなきゃそんそんとばかりに
それこそピンからきりまであらゆる程度の品質のものがあふれ返っています。

残念ながらお数珠材料(ブレスも)は、工業規格とか、業界規格とかの普遍的な規格基準がないのです。
だから一見すると同じように見えてしまうから粗悪品を知らなくて高く買ってしまったり、
オフプライスで安く見せて売ったり(充分過ぎる利益を取りながら)本当に、売る側のモラルでしか制御できないのが現状です。

お客様の側で商品知識をよく知っていただくしか(自己防衛ですね)防ぐ方法がありません。
もしくは本当に信用の置ける店で(うちみたいに・・・(^-^;))買っていただくしか。

僕がこの仕事を始めた25〜6年前は、国内で職人さんが一生懸命玉作りをしておられたから少なくとも職人のこだわり部分を見ることができたし、身に付けることができたことは、恵まれたとた環境で良かったと思います。

そうした加工技術は、どんどん国外(おもに中国に)に移植されていきました。

ただ一社でもそうした構造変革で安価に手をつければ競争力の上から、どこの会社も安価製品を扱わざるをえなかった訳なのですが、粗悪品(海外品が粗悪品というのではないのです。

一部に存在すると言うことなのです)がどうどうとまかり通るのは、本当に悲しく思わされます。
正式の念珠となれば、一生ものでしょう。
物も知らない販売員や大手の看板店のセールストークや信用だけで・・・ちょっと悲しいな。

念珠のお直しを日頃お受けしていて、これは直してもすぐにまた切れてしまうと思う玉によく出会います。
その中から数例ご参考になればと思い、ご紹介させていただきますね。



糸を通す穴ぐりの部分
は切りっぱなしで、刃物
のように鋭い角を持っ
ています

穴の中に糸を通すと穴
の内側が研磨されてい
ないので新しく通した糸
が玉を通すたびに早くも
ささくれていく
これはお土産でよく買ってこられるので直しでよく入ります
ご覧のとおり細い糸しか通らない穴があいているだけなので
補強のためにテグス(釣り糸)を入れている。その釣り糸も穴の
仕上げの悪さゆえにガタガタに寸断状態なのです。


 念珠の製作工程をご紹介します

近頃は海外で玉を製作することが主流になってしまいましたが、以前日本国内で原石から玉造りをしていた頃の行程なのです。

”そこまでやるか!”とはよく言ったもので、玉一個にこれほどまでに情熱を傾けて作ります。
特に最終微粉の磨きなんて全く素人目にはわからない部分なのです。
こうした見えざる苦労が評価されなくなることは、寂しいですね。

ビルマひすいでの玉造り

原石 大割 小割 穴あけ カッティング 穴広げ
ここに中行程が2
〜3
行程入ります
組み立て作業
荒ずり 中ずり 微粉・最終微粉 つや出し・完成

シャコ貝の行程


編込み製作・完成


  そしていよいよ手作業の開始です。

念珠は基本的に一連一連手作業で、編み込み、糸通し、房作り、と工程を踏んでいきます。

宗派によって、使う方の立場(僧俗、男女など)によって千差万別、多種多様な形、大きさ、仕立て方法などなど細かく決まっていて、伝統に沿った約束事があります。職人はそれを体で覚えていて仕立てていきます。

また、念珠は使用されていけば・・・
いつかは必ず珠と珠を結びつけている中糸は摩耗し、房の編み糸はほつれ、切れ、するものです。

永遠はありません。
修理の時期が必ず訪れます。そのとき念珠は他の職人の手に渡るでしょう。

そんな時、一度も会ったこともないその職人の口をついて出る言葉・・・「丁寧な仕事をしているな」と、プロ通しの暗黙の感動を得たいと思う気持ち、そんなことを励みに仕事をします。

職人仕事ってそんなものです。
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